自己紹介 その10

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新人王トーナメントを終え全日本新人王のタイトルを手にした。
しかし生活自体は何も変わらなかった。
試合が終わった後も変わらず仕事とトレーニングの日々を送っていた。
ただ違ったのは右の拳を骨折してギブスをつけているという生活をしていたことだ。
小学生の頃に手首を骨折したことがあってギブスをつけた経験はある。
しかし人生で何度もギブスをするわけではない。
したがって2度目でも慣れていたわけがなかった。

そんな状態だったので仕事や日常生活もかなり不便でもちろんトレーニングも思うようにはできなかった。
ここで「骨折したから休養します」と言う人が多いのも事実だろう。
ボクシングでなくとも何かしらのトレーニングを始めたと言っていたのに「筋肉痛がひどいから休む」と筋肉痛を言い訳してトレーニングを休んでいる人もたくさん見てきた。
でも私は違う!
右手が使えなくても左手と両足があるじゃないか!
と自分に言い聞かせてジムではシャドーボクシングやロープを飛んでサンドバッグやミットでは左手だけを使って打つというトレーニングをしていた。
最初はしんどかったけどそのおかげで得られたものも多かったと思う。
少なくとも逃げてばかりのダメ人間ではなくなってきていたのだ。

そして月日が経ち怪我が治りかけてきた頃次の試合が決まった。
なんと地元・八王子で興行が開催されることになり私もその試合に出場することになった。
今まで試合はほとんど後楽園ホールか宮城県まで行ってやっていたので地元の人たちに応援を頼んでもなかなか来てもらえなかった。
だからこそこの機会に地元の人たちに試合を見てもらえるのは良いチャンスだとちょっとテンションが上がった。

しかも全日本新人王を獲得してミドル級の日本ランキングに入った後の地元凱旋試合。
気合が入らないわけがない!
しかし日本ランキングに入ったからと言っていきなりランキング選手と戦うのは早すぎるという配慮もあったのか相手はノーランカーの選手だった。
地元開催ということで普段見に来られない人たちに良いところを見せるチャンスだと思った。しかしそこでうまくいかないのがこのダメ男なのであった。

続く

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